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綾町バイオガスプラント建設計画
次の50年を見据えた、新たな「循環のまちづくり」に向けて
綾町が歩んできた道のりは、自然と人が支え合う歴史そのものです。先人先達が築き上げた「自然との共生」の理念と、長年積み重ねてきた資源循環の取り組みは、私たちの暮らしの根幹であり、何物にも代えがたい「綾町の誇り」です。
綾町のアイデンティティである「自然環境を保全し、自然と人とが共生するまちづくり」を、これからも守り続けていくために。私たちは今、あらためて「未来の綾町」の姿を真剣に見つめ直しています。
これまで守ってきた価値を、次の50年にも持続させるためにはどうすればよいのか。今の私たちにできる新たな「循環の仕組み」づくりとして、「綾町バイオガスプラント建設計画」について検討を進めています。
なぜ今必要なのか?
先人が築いてきた綾町の資源循環の仕組みが、今、継続の危機に瀕しています。
家庭系生ゴミ堆肥化事業の危機
昭和62年から続く生ゴミ堆肥化ですが、現在は機械の故障により稼働を停止しています。再稼働には莫大な費用がかかるほか、施設の老朽化による維持管理費の増大、堆肥の消費不足(製造30トンに対し消費9トン)が課題となっています。
し尿・養豚し尿液肥化事業の危機
施設の老朽化による維持管理費の増大に加え、周囲への臭いの問題、夏場を中心とした散布農地の減少、人材確保が深刻な課題です。
これらの施設を継続していくためには、多額の更新・維持管理費用がかかる上に、山積する課題を解決していくことが急務となっています。これまでバラバラだった処理を1カ所に集約し、町内の廃棄物を「電気・熱・消化液(液肥)」という新たな地域資源にアップデートするのがバイオガスプラント構想です。
[参考]バイオガスプラントによる地域資源循環の次世代化 [PDFファイル/326KB]
バイオガスプラントの仕組み
バイオガスプラントとは?
家庭から出る「生ごみ」や「し尿」、地域の「家畜ふん尿」や「農業残渣」等を、微生物の力で分解し、「電気や熱(エネルギー)」と「液肥(資源)」に生まれ変わらせるリサイクル施設です。 ごみを減らし、綾町の有機農業と地球環境を支える、地域循環の要となっています。
資源循環の「4つのステップ」
プラントの中では、次のような流れで資源が循環しています。
1.【集める】原料の受け入れ:毎日、町内から集まります。
町内の家庭から出される「生ごみ」や、畜産農家から出る「家畜のふん尿」がプラントに集められます。これらが循環のスタートです。
2.【混ぜて・温める】メタン発酵:微生物が一番働きやすい環境を作ります。
集まった原料を細かく砕いて混ぜ合わせ、酸素のない発酵タンクへと送ります。タンク内を微生物(メタン菌)が活発に動く温度(約35℃〜55℃)に保ち、じっくり発酵させます。
3.【ガスを取り出す】エネルギーの誕生:バイオガスの発生。
微生物が原料を分解する過程で「バイオガス(メタンガス)」が発生します。このガスをきれいに精製し、巨大なガスエンジンを動かして「電気」と「熱」を作り出します。
4.【田畑へ返す】良質な肥料(消化液)の完成:100%無駄にしない資源循環。
発酵が終わった後に残る液体は「消化液(しょうかえき)」と呼ばれます。においがほとんどなく、植物が吸収しやすい窒素などの栄養がたっぷり詰まった、安全で優秀な有機質肥料です。
バイオガスプラントがもたらす「3つのいいこと」
1.ごみの減量と環境保護(CO2削減)
生ごみを燃やす必要がなくなるため、ごみ処理にかかる費用や、焼却時に出る二酸化炭素(CO2)を大幅に減らすことができます。
2. 綾の「自然生態系農業」への貢献
プラントで作られた「消化液」は、地域の農家に安価で提供され、綾町の美味しい野菜やお米を育てる肥料になります。化学肥料に頼らない、綾の自然生態系農業を支えていきます。
3.地域生まれのクリーンエネルギー
作り出した電気は、プラント内で使うだけでなく、余った分はクリーンな電力として供給されます。地球に優しいエネルギーの地産地消です。
これまでの経緯と今後の予定
本計画は、複数年かけて慎重に進めます。
| 2023年 | 綾町廃棄資源の循環活用を考える庁内ワーキンググループの設置。バイオガスプラント建設の検討開始 |
| 2023年~2024年 | 勉強会、概略試算、環境省事業による構想策定 |
| 2025年 | 実現可能性調査、バイオガスプラント建設検討協議会の設置 |
| 2026年 | 基本設計、運営体制検討、電気利用計画、液肥利用計画など |
| 2027年~2028年(予定) | 建設事業申請、設計、工事着工 |
| 2028年〜2029年(予定) | プラント稼働 |
現在の状況
原料供給者とのヒアリングを行っており、量や金額、運搬方法等について協議、検討を行っています。原料の量などが決まれば施設の規模等も決まります。
検討中の「3つの建設候補地」
現在は、以下の3カ所の利点・欠点を多角的に調査・比較している最中です。
- 育苗センター付近:現液肥工場のタンク活用や、余剰熱の既存ハウス利用が検討可能。
- 浄化センター付近:公共下水・し尿汚泥との連携処理がしやすく、発電した電力を直接施設で消費可能
- 雲海酒造工場付近:エネルギーの地域利用、資源循環を伝える教育・観光拠点の活用。
※ 現在、浄化センター付近を第1の候補地として検討を進めています。
不安や課題への対策
周辺にお住まいの皆さんの生活を守るため、以下の対策を前提に設計を進めています。
- 臭い 原料受入から発酵まで「密閉型施設」を想定。発酵後の液肥はほとんど臭いません。
- 車両 通学路や生活道路を避け、影響を最小限に抑える収集ルートを作成します。
- 騒音 基本的に音が出ない構造を計画しています。
- コスト 建設費用は、概ね10億円程度を見込んでいます。建設には国の補助金を最大限活用し、採算性を慎重に試算します。
町民の皆さんへのお願い
綾町ではこれまで「自然との共生」の理念のもと、長年にわたり資源循環の取り組みを実践してきました。この歩みが「綾ブランドの確立」や「自然環境保全」を結実させ、「ユネスコエコパーク」の登録という世界的評価にもつながっています。
しかしながら、時代の変化とともに、従来の「資源循環」の取り組みは継続が困難な状況を迎えつつあります。
「自然との共生」と「資源循環」のまちづくりをここで停滞させるのか、それとも次世代へ継承していくのか。今、私たちはその岐路に立っています。先人先達が築き上げてきた綾町を、最良の形で次の世代へと引き継いでいくことは、私たちの共通の責務です。
次の50年を見据えた新たな循環の仕組みとして検討を進めているバイオガスプラント建設は、単なる行政施設ではなく、「町民参加型の施設」ひいては新たな「循環のまちづくり」のシンボルとして位置づけています。
綾町の持続可能な未来に向け、町民の皆さんのご理解とご協力をよろしくお願いします。






